ショートケーキと言えば誕生日やお祝い事にはピッタリのケーキの代表格。
日本人は多くの場合、この名前を聞くと、スポンジの上や中にイチゴがトピッングされていて、生クリームをふんだんに使用したものをイメージしがちだが、このショートケーキはあくまで日本国内で広まっているのみの概念のようだ。そこで今回はショートケーキが他の国々ではどのような形で広まっているのかを調べ、その名前の由来などを探ってみたい。
1、ショートという言葉の意味
ショートケーキというとショート(short)というのだから小さくて短いケーキと考えられることも多いようだ。しかしこれは思い込みの部分もあるようで、実際にはホールのケーキもショートケーキと呼ぶようなのでこれは当てはまらないらしい。他にもショートケーキには繊維のある、砕けやすい、もろい、などの意味もある。このように考えるとショートケーキ=小さい、短いではなくて、なにか他の由来があるように思われるのである。
2、ショートケーキの名前に関する逸話
スコットランドの花嫁スコットランドには古い時代には、結婚式で花嫁の頭をクッキーのような菓子で叩くという習慣があったらしい。そしてこの時にクッキーのような菓子が上手くわれないと縁起が悪いとされたのだ。この説ではこの結婚式で使用するクッキーが元になってショートケーキ(砕くケーキ)のような意味になったのではとされる。また、スコットランドが別名ショートランドと呼ばれているのもこの説が支持される理由のようである。
3、イギリスやアメリカの菓子が原型?逆輸入?
イギリスやアメリカには形こそ違うものの、ショートケーキの原型ではないかと言われている菓子が存在している。まず、イギリスではショートブレッドという菓子があるのだが、これはクッキーのようなものにイチゴやクリーム、もしくは他の食べ物を挟んで食すというものである。
一方、アメリカにはショートケーキと呼ばれてはいても日本の物とはずいぶん違う菓子がある。これはビスケットと呼ばれる、パンとケーキの中間のようなものに砂糖をふりかけたイチゴとクリームを挟んで食べるというものである。
しかしこのアメリカ版のショートケーキに誰かがビスケットの代わりにスポンジを使用するようになり、それが好評で広まったという話もあることから、イギリス→アメリカ→日本という順番で入ってきたという説があるため、日本に伝わってきた時にはすでにスポンジケーキにクリームというおなじみの姿になっておりショートという言葉の砕く、もろいなどの言葉が当てはまらなくなってしまった可能性もあるのだ。
4、時間短縮、ショートニング、日持ちに関する由来説
ショートケーキの語源説に関してはもっと分かりやすいものもある。一つめはケーキを作る過程において、ショートケーキはフルーツを盛り付け、クリームをデコレーションするのみなので時間がかからない、そういうわけで短い時間(ショートタイム)で作れるという意味で、ショートケーキとなったのではという説である。次はショートケーキのスポンジを作る際、ショートニングという植物油脂を使用することから来ているのではというものである。そして最後はイチゴや生クリームなどのデコレーションが日持ちしないため、長くもたないということでショートケーキと呼ばれたという説である。
このようにショートケーキの由来には様々な説があるようだ。ただ一つ言えることはショートケーキが西欧発祥にしろ、日本発祥にしろ、人々の手に渡りながら工夫されてきた歴史ある菓子であるということだろう。